3月の伝道掲示板

生かさるる

 よろこびにほふ

   春の梅

  中村 久子

覚法寺だより 第31号

 

 暦の上では、春を迎えたとはいえ、「春に三日の晴れ無し」と言われる気候不順の折、皆様、お変わりありませんか。

 

 人生80年と言われるようになって久しい時代、私たちは、生きていることに慣れっこになって「生きていることが当たり前」と感じてはいないでしょうか。そして、自分の思い通りになること、願いが満たされることが幸せだと思い込み、その為に汲々としてはいないでしょうか。

 

 今月の掲示板は、中村久子女史(1897年~1968年)の句です。中村さんは、幼児期に凍傷が元で手足を失い、様々な苦しみを抱えながら生き、やがて、お念仏のみ教えに出遇われて、その苦悩を乗り越えていかれた方です。

「人の命とはつくづく不思議なもの。確かなことは自分で生きているのではない。生かされているのだと言うことです。どんなところにも必ず生かされていく道がある。すなわち人生に絶望なし。いかなる人生にも決して絶望はないのだ。」

 「良き師、良き友に導かれ、かけがえのない人生を送らせて頂きました。今思えば、私にとって一番の良き師、良き友は両手、両足のないこの体でした」と遺されています。

 

 思い通りになることが、幸せであるとする価値観では受け入れ難いことをも、尊く有り難きことと受け入れることのできる身に転じられていくことこそ、お念仏の利益であり、お育てと味わせていただきます。

 

 覚法寺分院では、3月21日(土・春分の日)午後1時より春季彼岸会をお勤め致します。

 

 ご講師に、群馬県藤岡市にある西蓮寺住職で本願寺派布教使の艸香雄道師をお迎えいたします。西蓮寺様は、NHK大河ドラマ「燃ゆ」の主人公「杉 (スギ フミ)」の姉「杉 寿(スギ ヒサ)」が、夫の小田村伊之助(後の楫取素彦 かとりもとひこ)の赴任先(県令・今の県知事として)の群馬に浄土真宗のお寺が無いことから、お寺を建ててほしいと願い、本願寺21世明如上人に開教の要望をしたことから建立されました。先年、開基唯道師100回忌法要をお勤めされましたが、大変なご苦労があったとお聞かせいただきました。

 是非、ご一緒に先生の法味豊かなお話を聴聞させていただきませんか。皆様、お誘い合わせてお参りください。            合 掌

 

   平成27年3月