12月の伝道掲示板

ままならぬ

 ままならぬまま

  み手の中

   覚法寺だより 第28号

 

 師走に入り、今年もあとひと月となりました。あらためて月日の経つのは速いものだと感じます。お陰様で覚法寺分院の活動も四年目に入り、今年の報恩講は、初めてご講師の先生をお迎えして、賑やかにお勤めさせていただくことができました。皆様には、この一年大変お世話になりありがとうございます。厚く御礼申し上げます。

 

 先月、日本を代表する映画俳優の高倉健さんが、亡くなりました。健さんの座右の銘は、「往く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし」天台宗の酒井雄哉阿闍梨から贈られたものであったそうです。これは、仏説無量寿経(浄土真宗正依の経典)の中で、阿弥陀様が、まだ、法蔵菩薩という修行者の位にあった時、一切の生きとし生けるものを救うことのできる仏に成りたいと願い、この上ないさとりを求めて修行するにあたり、師仏である世自在王仏の御許においてその覚悟の程を宣べられた「たとい身を 諸々の苦毒の中におくとも 我が行は精進にして 忍びて終に悔いじ(仮令身止 諸苦毒中 我行精進 忍終不悔)」(讃仏偈)によるものです。健さんは、有名になっても慢心することなく、常に謙虚に自分はまだまだと未完の身として、更なる向上のために精進された、俳優としてと言うよりも人間として尊い方であったと思います。

 

 私たちは、それぞれに様々な夢や希望、願いを持って生きています。そして、それらを実現するために日々自分なりの努力を続けている存在といえるでしょう。ところが、どれだけ努力をしても必ず報われるとは限りません。その時に不平不満を生じ、後悔に繋がることのないよう、未完の自覚を大切にできる人間でありたいと思います。

 

 お釈迦様は、あらゆることは、因(原因)と縁(条件)によって成立し、縁によって移り変わるという無常の道理を明らかにし、「願わないのに病み、望まないのに老い、一つとしてわが身については思うようになるものはない」ことをお示しくださいました。そして、思い通りにならないことは分かっていてもなお、愛憎の煩悩に振り回されて苦悩し、悲しみに暮れる者に「決して未完のままで終わらせはしない」と、寄り添い抱き摂って歩んでくださる仏さまのお名のりを「南無阿弥陀仏」と教えてくださっています。

 

 覚法寺分院では、今年最後の定例法話会を12月14日午後2時より、新年の初法座は、1月4日午後1時よりお勤め致します。ごいっしょに阿弥陀様のお心を聞かせていただきませんか。皆様、お誘い合わせてお参りください。                                                                                合掌

 

   平成26年12月1日