9月の伝道掲示板

いつか別れねばならないという今

()()っているこのご縁を大切にしたい

 

覚法寺だより 第13号

 

今年は、例年より暑い夏だったようです。虫の声とともに朝晩の涼しさが、秋の訪れを感じさせてくれます。早いもので今月は秋のお彼岸を迎えます。お彼岸は春と秋の二回、春分の日・秋分の日を中日(ちゅうにち)として前後三日間、計一週間にわたり勤められる仏教行事です。

私ごとですが、父の勤務の都合で幼少期を過ごさせていただいた築地本願寺和田堀廟所は、お彼岸になると参拝のご門徒さんで連日賑わっていました。ご家族でお参りになった同年代の子と仲良くなって、境内で一緒に遊んだことを懐かしく思い出します。皆様の中にも子供の頃にお祖母ちゃんに手を引かれてお寺やお墓にお参りされたことを覚えていらっしゃる方も多いことでしょう。そうした体験が大人になっても抵抗感無くお寺にお参りできることに繋がっていることもあるようです。

さて、お彼岸の由来は、至彼岸(とうひがん)で、お悟りの世界に至る実践を示すものです。悟りを求める菩薩の実践徳目としてよく知られているのが六波羅蜜(ろっぱらみつ)です。それは、《布施(ふせ)・分け与える》《持戒(じかい)・戒律を守る》《忍辱(にんにく)・耐え忍ぶ》《精進(しょうじん)・努力をする》《禅定(ぜんじょう)・散乱する心を安定させる》《智慧(ちえ)・一切の執着を離れる》といった実践によって功徳を積み悟りに至ろうとする道です。

 もし、これらの実践に依るより他に彼岸へ至る道が無いとするならば、私にとって悟りへの道は閉ざされていると言わざるを得ません。

 阿弥陀様は、これらの実践徳行を一つとして徹底することのできない私であることを承知されているからこそ無条件のお救いを誓われました。そして、兆載永劫(ちょうさいようごう・限りなく永遠に近い時間)のご修行を懸けて誓いを成就され、その大功徳を自らの名告(なの)りにこめ「南無阿弥陀仏」(我にまかせよ、必ず救う)のお喚(よ)び声となって今、私をお悟りの世界・彼岸へ至らしめようとはたらいてくださっているのです。

 お彼岸は、私自身が阿弥陀様のお救いの目当てであることを聞かせていただき、そのお心に出遇わせていただく尊いご縁です。お墓にお参りの前後には、是非、お子さんお孫さんとともにお寺にお参り下さい。

覚法寺東京分院では、9月23日(月・秋分の日)午後1時から秋季彼岸会法要をお勤め致します。また、ご自宅でのお彼岸のお参りをご希望の方は、お電話にてご相談ください。

10月13日(日)午後2時より定例法話会を開催します。あわせてご予定ください。                合掌

 

  平成25年9月1日